Tom Lee：価格はすでに底を打った、サイクルは打破される、今後10年は「トークン化」に注目

原文：Binance

編訳＆整理：Yuliya，PANews

12月4日、Binance Blockchain Weekにて、ウォール街の著名アナリストでBitMine会長のTom Lee氏が「暗号資産スーパーサイクルは依然として存在する」と題した基調講演を行いました。彼は、本当の暗号資産黄金時代はまだ始まったばかりだと指摘し、「ビットコイン30万ドル、イーサリアム2万ドルの2026年目標価格」を提示。さらにイーサリアムの価値がなぜ著しく過小評価されているのか、また従来のビットコイン「4年周期」がもはや通用しない理由についても詳述しました。

暗号資産黄金時代は終わっていない、トークン化が今年のコアストーリー

講演の冒頭で、Tom Lee氏は過去10年の投資リターンを振り返り、暗号資産の驚異的な成長ポテンシャルを強調しました。

彼は、もし2016年12月にS&P500に投資していた場合、資産は約3倍に、金に投資していれば約4倍になっていたと指摘。しかし、その当時にNVIDIAに投資していればリターンは65倍に達したといいます。さらに10年前にビットコインに投資していれば、そのリターンは驚異的な112倍に。ビットコインをも上回るのがイーサリアムで、その10年間のリターンはほぼ500倍に達しています。

2025年までの暗号資産市場の価格推移は芳しくなかったものの、今年は数々の重要なファンダメンタルズの好材料がありました。

• **政府の姿勢の変化：**米国政府は暗号資産に友好的な立場を示し、西側世界の新たな基準を打ち立てました。
• **戦略的ビットコイン準備：**米国の複数の州や連邦政府が戦略的ビットコイン準備を計画・実施しており、これは大きな前進です。
• **ETF****の成功：**ブラックロックのビットコインETFは同社の手数料収入上位5製品の一つとなり、これは1年半しか経っていない商品としては前例がありません。
• **伝統金融の参入：**長年暗号資産批判者だったJPモルガンも今やイーサリアム上でJPMコイン(を展開。トークン化はすべての主要金融機関の優先事項となっています。
• **ネイティブプロダクトのブレイクスルー：**暗号資産市場では、従来の金融意思決定を変える2～3のネイティブプロダクトが登場。たとえば、予測市場PolyMarketは「水晶玉」のような情報を提供し、Tetherは世界で最も儲かる銀行トップ10の一つであることを証明しました。

同時にTom Lee氏は、**2025年のコアストーリーはトークン化であり、その始まりはステーブルコイン、これはイーサリアムにとっての“ChatGPTの瞬間”**だと述べました。ウォール街は突如、単に米ドルをトークン化するだけで巨額の利益を得られることに気づいたのです。いまや金融機関はトークン化が金融業界全体を変えると考えており、ブラックロックCEOのLarry Fink氏は「複式簿記以来、最も偉大でエキサイティングな発明」とまで表現しています。

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さらに彼は、Larry Fink氏の言う「すべての資産のトークン化の始まり」によって解き放たれる価値は想像を超えると指摘。トークン化には5つの利点があります：部分所有権、コスト削減、24/7グローバル取引、透明性向上、理論上より高い流動性。

これはあくまで基本要素です。多くの人が理解しているトークン化は単なる資産分割ですが、真の革命は第2の形態にあります――ビジネスの将来価値の「ファクタリング」です。

たとえばテスラの場合、多次元に分割・トークン化できます：

• 時間のトークン化：テスラの特定年（例：2036年）の利益の現在価値を購入
• プロダクトのトークン化：特定プロダクトライン（例：電気自動車、自動運転、オプティマスロボット）の将来価値を購入
• 地域のトークン化：中国市場など特定地域の将来利益を購入
• 財務諸表のトークン化：サブスクリプション収入のトークン化部分を購入
• 創業者価値のトークン化：Elon Musk本人への評価を切り離して取引可能に

このアプローチにより膨大な価値が解放されます。BitMineはこの分野の案件を積極的に模索・推進中です。

Tom Lee氏は暗号資産の黄金時代はまだ終わっておらず、将来の成長余地は極めて大きいと確信しています。彼によれば、現在世界には1万ドル以上のビットコインを保有するウォレットはわずか440万個。対して世界の退職口座には約9億件の1万ドル以上の資産があります。これら全てがビットコインを組み入れれば採用率は200倍に。米銀調査では、いまだ67%のファンドマネージャーがビットコイン無配分。ウォール街は全金融商品をトークン化したいと考えており、不動産まで含めれば数千兆ドル規模。よって暗号資産の「最高の時代」はこれからだとしています。

) ビットコイン4年周期は無効、来年1月に新高値へ

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長期的には暗号資産に強気ながら、Tom Lee氏は現状の市場について「冬のようだ」と率直に説明。伝統的資産と対照的で、今年は金が61%上昇、S&P500指数が約20%上昇、一方ビットコインとイーサリアムはマイナスリターン。ArcaのJeff Dorman氏の「誰にも説明できない売り」という記事タイトルを引用しました。

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さらに10月10日にビットコインの転換点が来たと指摘。それまでは年初来36%上昇だったものの、その後下落。市場では量子計算リスク、4年周期説、10月10日の歴史的清算、AI株への資金流出、Strategy社のビットコイン売却観測、MSCIのデジタル資産カストディ会社の指数除外、Tetherの格下げなど様々な説明が出ています。

**しかしTom Lee氏は、これがデレバレッジと密接に関係していると考えています。**FTX崩壊後、市場は価格発見の回復に8週間を要しました。10月10日の清算イベントから今までで7週間半が経過し、価格回復期間に近いとみています。

より精緻な市場判断のため、Fundstratは伝説的なマーケットタイミング専門家Tom DeMark氏を招聘。氏の助言を受けてイーサリアムの購入ペースを大幅に減速、週10万ETHから5万ETHに減らしました。しかし最近BitMineは再び積極買いに転じ、先週は10万ETH近く購入、2週間前の2倍に。今週はさらに多くを購入しており、イーサリアム価格はすでに底打ちしたと確信しています。

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またTom Lee氏は、全員が気になる「ビットコイン4年周期」について、過去は3度、天井・底を正確に予測してきたが、主流説明は半減期や金融政策との関連が語られてきたと指摘。しかしFundstratチームは、「銅金比」や「ISM製造業指数」（＝伝統的経済サイクル）という2つの指標がビットコインサイクルとより強い相関を持つことを発見しました。

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Tom Lee氏によれば、過去には銅金比（産業活動対マネタリーベースの比率）とISM指数がビットコイン価格と高い相関の4年周期を示してきました。しかし今回は両者とも4年周期を守っていません。銅金比は本来今年ピークアウトするはずがそうならず、ISM指数は50以下に3年半もとどまったままです。

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よってビットコインサイクルを駆動する産業サイクルと銅金比サイクルが崩れた今、ビットコイン自体が4年周期に従う理由はないと考えています。ただし、ビットコイン価格がすでに天井をつけたとは思っておらず、来年1月に新高値をつけると自信を持って予想します。

) イーサリアムは「1971年の瞬間」に、過小評価の核心ロジック

「2025年のイーサリアムは、自身の“1971年の瞬間”を経験している」。Tom Lee氏は講演で、かつてウォール街がドルの基軸通貨維持のために金融商品を大量創造したように、いま株・債券・不動産などすべての資産のトークン化波の中でイーサリアムがウォール街の第一選択プラットフォームになったと指摘。

さらにビットコイン初期の開発者Eric Voorhees氏の「イーサリアムはスマートコントラクト戦争に勝った」との見解を引用。ほぼすべての主要金融機関がイーサリアム上で商品を構築しており、RWAトークン化のほとんどがイーサリアム上で進む中、イーサリアムのユーティリティ価値は急速に向上しています。同時にネットワーク自体も常にアップグレードされており、最近はFusakaアップグレードも完了。価格チャート上も5年間のレンジを経てブレイクアウトし、ETH/BTCレートもまもなく上放れする見込みです。

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またPoSブロックチェーンとして、Tom Lee氏はイーサリアム財庫企業がウォール街の伝統的役割を徐々に変えつつあると分析。これらの企業は本質的に暗号インフラ事業であり、イーサリアムのステーキングによってネットワークの安全性を提供しつつ、ステーキング報酬を収益源としています。また、伝統金融とDeFiの橋渡し役として両者の融合を促進。こうした企業の成否を測る鍵は株式の流動性です。

• Strategy社は今や米株市場第17位の取引量で、1日取引額は約40億ドル、JPモルガンを上回ります。
• BitMineは設立3～4か月で米株取引量第39位、1日取引額は15億ドルに。時価総額が30倍のGE)や、20倍のSalesforceに迫る取引量です。

現在、StrategyとBitMineは全暗号財庫企業の総取引量の92%を占めます。Strategy社は「デジタル信用商品」になることを目指し、BitMineはウォール街・イーサリアム・DeFiの架け橋を目指しています。

これを踏まえTom Lee氏は価格予測モデルから以下の判断を示しました：

• ビットコインが今後数か月で25万ドルに到達した場合
• ETH/BTCレートが8年間の平均値に戻ればイーサリアムは12,000ドル
• 2021年高値に戻れば22,000ドル
• 将来イーサリアムが金融決済レールとなり、レートが0.25に達すれば価格は62,000ドル

よって、イーサリアム3,000ドルは著しく過小評価されているとの考えです。

( コミュニティQ&A

コミュニティQ&Aセッションでは、Tom Lee氏がマクロ環境の暗号資産への決定的影響、トークン化時代のイーサリアムの根本的価値、およびBitMineの役割、そして2026年末への大胆な価格予測について語りました。

**司会：**金融政策や規制のようなマクロ要因は、価格以外で暗号資産の長期的な採用や普及にどのように影響するのでしょうか？

**Tom Lee：**マクロ要因は間違いなく極めて重要です。伝説的投資家Stan Druckenmillerは「投資の80%の成功はマクロで決まる」と言いました。つまり、どんなにプロジェクトを研究し、どんなに正しい判断をしても、それは20%の成否しか決めません。

なぜか？暗号資産は真空に存在するものではなく、マクロ環境の影響を強く受けるからです。例えば：

• 規制リスク：これは最も直接的で、たった一つの政策がプロジェクトや分野の運命を決めてしまいます。
• 金融政策：FRBの金融緩和・引き締めは世界の流動性に直結。カネが余れば金やビットコインのような資産は上がりやすい。
• 市場心理：価格自体が心理を駆動します。10月10日以降の下落で市場心理は崩壊し、2018年の深いベアマーケット並みの悲観に。

したがって、マクロを理解せずに暗号業界で成功するのはほぼ不可能です。

**司会：**コミュニティでよくある疑問ですが、将来銀行など金融機関がイーサリアムを使う場合、本当にETHを保有する必要があるのでしょうか？それともイーサリアム技術だけを使い、Linuxのように株式は持たないのでしょうか？

**Tom Lee：**これは非常に良い質問であり、イーサリアムの未来についてのコアな論点です。確かに多くの人はウォール街がイーサリアムを無料で便利な基盤技術（L2）として使い、ETHトークン自体は気にしないと考えています。

しかし私は、この考えが暗号資産界の根本ロジック――「ファットプロトコル」――を見落としていると思います。つまり価値はアプリケーション層よりもプロトコル層（イーサリアムなど）に多く捕捉されるのです。

もっと分かりやすい例を出しましょう。ゲーマーとNVIDIAです。

もしあなたがトップゲーマーで、全ての人気ゲームを極めているとします。全てのクールなゲームはNVIDIAのグラフィックスカードが不可欠。このとき2つの選択肢があります：

• ゲーム内にお金を使い、スキンやアイテムを買う
• ゲームを楽しみつつNVIDIA株を買う

結果は明白で、後者を選べば大富豪になれる。なぜならエコシステムそのものの基盤に投資しているからです。

将来、銀行がイーサリアムを見る目も同じです。彼らが数千兆円規模の資産をイーサリアムでトークン化する時、自らの命運を中立的なブロックチェーンに預けることになります。最も重視するのは、その基盤が100%安全・安定・信頼できるかどうか。

歴史的に、長期間100%安定稼働しアップグレードし続けてきたメジャーパブリックチェーンはイーサリアムだけ。よって自らの利益とネットワーク上での発言権を確保するため、必ず深く関与します――ETHのステーキングや大量保有など。これは国際銀行がドルを保有するのと同じです。「自分のビジネスは全部ドル決済だけどドルの価値には興味ない」というのがおかしいのと同じ。すべてがイーサリアム上で動けば、誰もがETHのパフォーマンスを気にするようになるでしょう。

**司会：**もし金融機関が本格的にイーサリアムを金融レールとして使い始めた場合、長期的にイーサリアム価格はどうなるでしょうか？「価格上昇」以外の観点で分析いただけますか？

**Tom Lee：**イーサリアムの将来価格を予測する最もシンプルかつ有効な方法は、ビットコインとの対比だと思います。ビットコインは暗号世界の価値の錨であり、ビットコインが下落すれば他のプロジェクトも無傷ではいられません。

従って、**最終的にイーサリアムの価値はビットコインとの価値比率で見られます。**イーサリアムが金融トークン化でますます中核を担えば、ネットワーク全体の価値もビットコインに近づくはずです。もしイーサリアムがビットコインに肩を並べる日が来れば、1ETH＝20万ドルの時代になるでしょう。

**司会：**イーサリアムの長期価値に強気で、金融基盤になると見ている中で、BitMineのような企業はこの大きな未来の中でどんな役割を果たすのでしょうか？長期ビジネス目標は？

**Tom Lee：私たちはイーサリアムが未曾有の「スーパーサイクル」を迎えると確信しています。**ビットコインは「デジタルゴールド」として成功し、価値保存手段となりましたが、**この先10年の主役は「ウォール街資産のトークン化」**です。

このストーリーで見落とされがちな点が流動性。資産をトークン化しても、誰も取引せず流動性がなければ失敗資産です。ウォール街は暗号界に流動性を提供し両者の言語を理解できるパートナーを切実に求めています。イーサリアムコミュニティは技術力は高いがウォール街へのサービスが苦手。ウォール街は巨大だが暗号ネイティブの理解が不足。BitMineはその橋渡し役となります。

私たちは大量のイーサリアムを保有するだけでなく、自身のマクロ視点と金融リソースを活かし、伝統金融とDeFiの間の価値とコミュニケーションのチャネルを築きます。イーサリアムエコシステムの指数的成長に、私たちも深く関与し、巨額のリターンを得るでしょう。

**司会：**あなた自身も「翻訳者」「橋渡し役」として、ウォール街で最も早く、最も熱心な暗号資産提唱者の1人です。最初にこの分野に入った経緯、そして強い信念を持つきっかけは何ですか？

**Tom Lee：**それは2017年に遡ります。当時、私は独立調査会社Fundstratを創業。ある日テレビでビットコインが1000ドルまで上がったのを見かけ、2013年にまだ70ドルだった頃、JPモルガンの同僚と話題にしたことを思い出しましたが、その時は大半が「闇市場の道具」としか見ていませんでした。

私の直感は「70ドルから1000ドルへの上昇には理由がある」と訴えていました。そこで夏を丸ごと使って調査。技術の全ては理解できなくとも、価格上昇の97%は「ネットワーク効果」――ウォレット数とアクティブ度の増加――で説明できると気づきました。これはネットワーク価値のあるアセットだ！と直感したのです。

初めて顧客にビットコイン投資を勧めた時は大きな反発を受け、重要なヘッジファンド顧客も失いました。「内在価値のないものを勧めるなんて気が狂っている」と思われ、情熱はあってもビジネスは苦しい時期が続きました。

そんな時、かつてワイヤレス通信研究をしていた自分を思い出しました。90年代初頭、携帯電話は「金持ちのおもちゃ」で普及しない、固定電話の補完だというのが主流意見。でも20代の自分は、携帯電話が実生活でもたらす利便性を実感していました。

そこで痛感したのは、新技術を本当に理解できるのは若者だけだということ。年配者は既存の生活様式で新しいものを判断しがち。だから私たちが暗号資産を理解できたのは賢いからではなく、古い視点にとらわれず若者の目線で考えたからなのです。

だから、長年暗号界にいる皆さんも素晴らしいが、思考停止には要注意。本当に注目すべきは今の20代が何をしているか、何に関心を持っているか。彼らはプロジェクトの社会的影響を気にし、投資したいのはテスラ全体ではなく「オプティマスロボット」のような特定の未来かもしれません。これこそ暗号資産が私たちに解き放つ無限の未来です。

**司会：**Tomさんは大胆なマーケット予測で有名ですが、ビットコインとイーサリアムの価格予測をお願いします。時点は2026年末でいかがでしょう？

Tom Lee：私のコアな見解はビットコインの4年周期は崩れるというものです。2026年初めに史上最高値を更新すると予想します。これが当たれば、ビットコインは米株のような動きになるでしょう。来年後半の米株本格上昇も予想しています。

なので、2026年末にはビットコインは約30万ドルになると予測します。

もしビットコインがこの水準に到達すれば、イーサリアムのパフォーマンスは現象級になるでしょう。来年末にはイーサリアムが2万ドルを超える可能性が高いと見ています。

**司会：**30万ドルのビットコイン、2万ドルのイーサリアム！ここで初めて聞きました。Tomさん、また来年もご出演いただき、予言が当たったかどうか検証しましょう！

**Tom Lee：**もし外したら、もう来ないかもしれませんね（笑）。