中国版Nvidia「摩爾線程」上場初日に468%急騰、初期投資家は6200倍の利益でA株の伝説を創出

モールスレッドが科創板上場初日に468.78%の急騰、市値は2,700億元を突破し、初期投資家は帳簿上で6,200倍超の利益を手にし、今年最も儲かった新規株の一つとなりました。これにより、中国国産ハイエンド演算チップの将来に対する市場の期待感が高まっています。本文は華爾街見聞の記事を基に、Foresight Newsが整理・翻訳・執筆したものです。 （前提：元中国銀行副頭取 王永利：中国がなぜステーブルコインを断固として停止するのか？） （背景補足：米国AI景気の裏側：中国のビットコインマイナーに「雇われる」）

中国「国産GPU第一号」として、モールスレッドは科創板での初登場から驚異的な上昇率で市場の熱気を呼び起こしました。これは同社の技術的希少性への直接的な評価であり、AIブームの中で中国国産ハイエンド演算チップへの市場の強い期待を浮き彫りにしています。

12月5日、モールスレッドは正式に科創板に上場、初値は650元で、発行価格114.28元に対し468.78%の急騰。日中最高値は688元、上昇率は502%、時価総額は一時2,700億元を超えました。初値で計算すると、1ロット（500株）の投資家は28万元超の含み益となり、今年最も儲かった新株の一つとなりました。記事執筆時点で、株価は最新で590.59元/株、上昇率は416.79%です（抽選当選=申込成功）。

モールスレッドは初期投資家にも驚異的なリターンをもたらしました。最初の投資家の一つである沛県乾曜は、初期投資で6,262倍超の帳簿上の価値増加を得て、資本神話を創出しました。

今回のIPOには267機関が価格提案に参加し、オフライン申込倍率は1,572倍、南方基金・易方達基金などの大手機関が数百のプロダクトを動員して申込。調達額は約80億元で、今年の科創板最大のIPOとなりました。会社は現在赤字状態ですが、122倍のPSR（株価売上高倍率）はNVIDIAなど海外大手を大きく上回り、市場が将来の成長余地と技術独自性に高いプレミアムを付けていることを示しています。

中国国内で唯一、機能面でNVIDIAに並ぶ企業として、モールスレッドは独自開発のMUSAアーキテクチャを基に、単一チップ上でAI計算・グラフィックレンダリング・物理シミュレーション・動画エンコード/デコードの技術ブレークスルーを実現しています。会社は早ければ2027年に黒字化を見込んでおり、申請から上場まで158日と、「科創板スピード」を記録しました。

モールスレッド創業者・董事長兼総経理の張建中氏は、同社がフル機能GPUチップの毎年一世代の更新ペースを維持し、クラウドからエンド端末まで全シーンをカバーする計算プラットフォームの構築に努めると表明。「AIが進化し続ける限り、演算能力の需要はバブルにならない」と強調しました。

機関投資家に人気の「希少銘柄」 モールスレッドはプライシング段階で機関投資家の高い熱意を示しました。発行公告によると、オフライン投資家267社が有効価格を提出し、管理配分対象は7,555件、有効申込株数は704.06億株、オフライン申込倍率は1,572倍で、年内大多数の新規株の倍率を大きく上回りました。

参加機関は豪華で、公募基金86社、プライベートファンド124社、証券会社30社、保険機関13社が申込隊列に登場。南方基金は404プロダクトで申込、合計52.85億株を予定申込。易方達基金は389プロダクト、工銀瑞信・富国基金はそれぞれ345、265プロダクトで申込。

モールスレッドのオンライン発行初回当選率は0.02423369%。11月24日申込開始時、発行価格114.28元/株は今年の新規株で最高値を記録。今回のIPO調達額は約80億元で、今年の科創板最大案件となりました。

会社は6月30日に科創板IPO申請を提出・受理され、12月5日の上場まで全過程で158日しかかかっていません。国内唯一のB向け・C向け両方に深く展開する国産GPUメーカーとして、モールスレッドは資本市場で「再現困難な希少銘柄」と見なされています。

初期投資家は6,200倍の大儲け モールスレッドは2020年創業当初から一次市場の注目を集めました。驚異的なスピードで資金調達を進め、累計規模は100億元超、上場前の株主は86名に上りました。

その資金吸引力は総額だけでなく、初期投資家にも驚異的なリターンをもたらしました。最初の投資家の一つである沛県乾曜は、初期投資で6,262倍超の帳簿上の価値増加を得て、資本神話を創出しました。

モールスレッドの誕生は2020年国内半導体業界の投資ブームの真っただ中、GPU分野も競争が激化していました。激しい競争の中、「中国のNVIDIA」として注目されたモールスレッドは、設立から100日足らずで2回の資金調達を完了し、時価総額は10億米ドル超、当時の「最速ユニコーン企業昇格」記録を塗り替え、その強力な市場吸引力と成長ポテンシャルを示しました。

市場で初期評価を獲得した後、モールスレッドは資本市場の熱気を一気に加熱。2021年のPre-AラウンドからAラウンドにかけては、深創投、紅杉中国、紀源資本、バイトダンス、国盛資本など数十のトップ機関が「大口購入」式で投資。この盛況ぶりは、長年業界に携わる老舗機関も異業種の産業資本も、モールスレッドを見逃せないトップ銘柄と位置付け、争って参入、急成長を後押ししたことを示しています。

高評価の裏にある黒字化の課題 市場の熱気とは裏腹に、会社は現時点で引き続き赤字状態です。モールスレッドの2024年売上高は4.38億元、純損失は16.18億元、PSRは122倍でNVIDIAなど海外GPU大手を大きく上回ります。

近年売上高は急増し、2022年の4,608.83万元から2024年の4.38億元へ、2025年前三四半期にはすでに7.85億元を達成。しかし巨額の研究開発投資により、2022～2024年の純損益はそれぞれ18.94億元、17.03億元、16.18億元の赤字。2025年前三四半期は7.24億元の赤字、第三四半期単独では4.53億元の赤字で、前年同期比1.8億元増加。

研究開発費比率は高止まりし、2022～2024年はそれぞれ11.16億元、13.34億元、13.59億元、2025年上半期は5.57億元。研究開発費が長期的に営業収入を上回り、技術開発重視の姿勢を示しています。モールスレッドは早ければ2027年に連結決算で黒字化を見込んでおり、国産GPU企業にとって長期の育成期間が必要であることを意味します。

「フル機能GPU」でNVIDIAに挑む 「モールスレッドはフル機能GPUの定義者だ」と張建中氏は説明。他の国産GPU企業と異なり、モールスレッドの製品は「フル機能GPU」。独自のMUSAアーキテクチャを基に、単一チップ構造でAI計算加速・グラフィックレンダリング・物理シミュレーション・超高精細動画処理の計算能力を同時に実現するブレークスルーを果たしました。

張建中氏は「人類はスマート時代に突入し、…」と紹介しています。