イーサリアムDEX Lighterの月間取引高は2,900億、現物市場が間もなく開始

2025-12-05 05:25:23

イーサリアム基盤の分散型暗号資産取引所Lighterが現物取引を間もなく開始します。同プラットフォームは木曜日にETH送金サービスを最初に提供し、今後数日以内にさらに多くの市場へ拡大する予定です。Lighterの11月の取引高は2,925億ドルに達し、その月で最も活発な暗号資産取引プロトコルとなり、Hyperliquidの3,085億ドルを超えました。

月間取引高2,925億、Hyperliquid超えトップ3入り

（出典：The Block）

Lighterは1月にプライベートβ版をリリースし、10月にパブリックメインネットを開始、急速に最大規模のオンチェーン暗号資産取引所の一つとなりました。Hyperliquidの数少ない真の競合相手の一つです。同社の10月取引高は2,725億ドル、HyperliquidとAsterの同月取引高はそれぞれ3,085億ドルと2,590億ドルでした。さらにThe Blockのデータによると、Lighterの11月取引高は2,925億ドルに達し、その時点で最も活発な暗号資産取引プロトコルとなりました。

この成長スピードは分散型取引所の歴史でも極めて稀です。1月のプライベートテストから11月の月間取引高首位まで、Lighterは1年足らずで達成しました。対照的にUniswapは主導権を築くまでに2年以上要し、dYdXも長いクールスタート期を経ました。Lighterの急成長は、2025年の暗号デリバティブ取引需要の爆発的増加、技術的優位性、チームのバックグラウンドなど、市場タイミングの恩恵を受けた側面も大きいです。

Hyperliquidとの競争はLighterストーリーで最も注目すべき部分です。Hyperliquidは2023年にローンチし、オンチェーン永続契約型DEXが持続的成長できることを証明しました。特に2024年11月にネイティブトークンHYPEおよびHyperEVMをリリースした後は顕著でした。しかしLighterはわずか数カ月でHyperliquidの月間取引高に追いつき、あるいは追い越し、この「後発先行」の勢いがDEX業界に新たな競争力をもたらしました。

2025年11月オンチェーンDEX取引高トップ3

Lighter：2,925億ドル（イーサリアムzk-rollup）

Hyperliquid：3,085億ドル（独立L1、データは他月も含む可能性あり）

Aster：2,590億ドル（バイナンスインキュベート）

注目すべきは、Hyperliquidの月間永続契約取引高はBinanceの約1/10程度ですが、これは分散型取引所としては驚異的な成果です。Binanceは世界最大の中央集権型取引所で、月間取引高は通常3兆ドル超。LighterおよびHyperliquidが数千億ドル規模に到達したことで、オンチェーン取引のユーザー体験と性能が中央集権型取引所に近づいていることが証明されました。

元Citadelクオンツアナリストの技術選択

Lighterの分散型取引所はイーサリアムを基盤とし、アプリケーション特化のゼロ知識共有（zk-rollup）技術を採用しています。創業者Vladimir Novakovskiは元Citadelのクオンツアナリストであり、オリンピックメダリストでもあります。彼はイーサリアムの安全保障を理由に、Hyperliquidのような専用Layer-1ではなく、分散型取引所（DEX）に特化したLayer-2構築を選択していることを公言しています。

この技術路線はNovakovskiのリスク評価ロジックを反映しています。イーサリアムは時価総額第2位のブロックチェーンとして長年にわたり安全性が実証され、数千のバリデータと巨大な開発者コミュニティを持ちます。イーサリアム上に構築されたLayer-2はこの安全性を継承しつつ、zk-rollup技術で高スループット・低コストを実現します。対照的に独立Layer-1は検証者ネットワークやセキュリティ基盤をゼロから構築する必要があり、初期段階では技術的・攻撃的リスクが高くなります。

NovakovskiのCitadelでの経験は、個人の輝きだけでなく実際の技術的優位性ももたらしています。Citadelは世界最大級のマーケットメイカー兼ヘッジファンドで、そのクオンツ取引システムは超低遅延・高頻度執行で有名です。NovakovskiがCitadelで培った注文マッチングアルゴリズム、リスク管理モデル、システムアーキテクチャの経験は、Lighterの設計に直接応用されています。これによりLighterは取引執行速度、注文板の深さ、スリッページ制御において多くの競合より明確な優位性を持ちます。

オリンピックメダリストという肩書きは一見ブロックチェーン技術と無関係に思えますが、実際はNovakovskiの極限の競争心と目標駆動型の性格を示しています。オリンピック級の競技でメダルを獲得するには、長年の鍛錬、正確な実行、プレッシャー下での冷静さが必要です。これらの特質は起業や技術開発、特に競争の激しいDEX市場において極めて重要です。

株式・先物・FX・現物の全商品ラインナップ展開

Lighterの最新の現物市場取引進出は、ここ数週間での一連の進展の一部です。過去数週間で株式先物取引（$COIN と$HOODが最初のラインナップ）を導入し、FX取引事業も拡大、さらにChainlinkとの統合によりリアルワールドアセット分野にも進出しました。

株式先物取引はLighterの大胆なイノベーションです。$COIN（Coinbase）と$HOOD（Robinhood）は米国上場の暗号資産関連銘柄で、Lighterはこれら株式の永続契約取引を提供し、ユーザーは米国市場の開場を待たず24時間365日ロング・ショートが可能です。この商品は、従来の株式市場の時間的制約を補い、グローバル投資家にとって非常に魅力的です。

FX取引事業の拡大は、Lighterの野心が暗号資産にとどまらないことを示しています。伝統的なFX市場は世界最大の金融市場で、1日あたりの取引高は7兆ドル超。LighterはEUR/USD、GBP/USDなど主要通貨ペアの永続契約取引を提供し、暗号ユーザーは1つのプラットフォームでFXと暗号資産をシームレスに取引でき、複数プラットフォームを行き来する必要がありません。

Chainlinkとの統合はリアルワールドアセット参入のカギです。Chainlinkは最大規模の分散型オラクルネットワークで、ブロックチェーンへ信頼できる外部データを提供します。Chainlinkを通じてLighterは株価、為替レート、コモディティ価格など伝統金融市場のリアルタイムデータを取得し、デリバティブ契約の価格決定と決済の信頼性を担保します。

Lighter製品ライン全景

暗号資産永続契約：主力事業、月間取引高約3,000億ドル

株式先物：COIN、HOODが上場済、今後さらに米国株へ拡大予定

FX取引：主要通貨ペアの永続契約

現物取引：ETHが先行上場、他トークンも順次開放

この全商品ラインナップ展開によってLighterは単なる暗号資産DEXから「分散型・全アセットクラス取引プラットフォーム」へと進化しつつあります。このビジョンは非常に壮大で、もし実現すればLighterは株式・FX・コモディティ・暗号資産を1つのプラットフォームで取引できるワンストップサービスを提供し、従来の金融市場の壁を完全に打ち破る存在となります。

デリバティブ主導だが現物は不可欠

従来市場と同様、暗号資産現物市場は全体取引活動のごく一部しか占めておらず、デリバティブ取引が主導的ポジションを取っています。The Block Researchのデータによると、歴史的な清算イベントとLighterやバイナンスインキュベートのAsterなどの台頭により、10月のオンチェーン永続契約総取引高は過去最高の1.2兆ドルに達しました。

デリバティブの取引量が現物を大きく上回るとはいえ、現物市場はDEXエコシステムに不可欠な構成要素です。第一に、現物市場は価格発見機能を提供し、デリバティブ契約の価格決定は最終的に現物価格にアンカーされます。第二に、現物取引はトークンの実際の移転需要を満たしており、多くのユーザーがDeFiやNFT、その他オンチェーン活動のためにトークンを購入する必要があります。第三に、現物とデリバティブの組み合わせ戦略（現物裁定、ベーシス取引など）は、同一プラットフォーム上で現物とデリバティブの両方を取引する必要があります。

Lighterチームは11月下旬に現物取引機能を初めて公開し、テストネットユーザーのフィードバックを募集しました。このコミュニティ主導のプロダクト開発手法はDeFi分野でよく見られ、最終的なプロダクトが実際のユーザーニーズに合致することを保証し、独善的な開発を避けるものです。テストネットユーザーのフィードバックはインターフェース設計、注文タイプ、手数料体系など多岐にわたり、これらの意見がLighterのプロダクトを磨き上げる助けとなります。

現物・デリバティブ両サービスを同時提供する取引所は珍しくなく、例えばCoinbaseやKrakenも今年デリバティブ業務拡大を予定しています。ただしLighterのユニークさは、最初からデリバティブに特化し、リーディングエンジンと流動性を築き上げたうえで、現物市場への垂直統合を行う点にあります。この「難しい方から易しい方へ」という展開は、多くのDEXが「現物からデリバティブへ」進む道筋とは逆です。

Founders Fund主導 6,800万ドル調達、評価額15億ドル

11月、Founders FundとRibbit CapitalはLighterの6,800万ドル資金調達を主導し、評価額は15億ドルとなりました。Founders FundはPayPal共同創業者ピーター・ティールが設立したベンチャーキャピタルで、破壊的技術への大胆な投資で知られています。投資先にはSpaceX、Palantir、Stripeなどのテックジャイアントが含まれます。Founders FundがLighterをリード投資したことは、分散型取引所に伝統金融基盤を覆す潜在力があると確信していることを示しています。

Ribbit Capitalはフィンテック分野で最も活発な投資家の一つで、Robinhood、Coinbase、Credit Karmaなどの有力企業に投資してきました。その深い業界知見と広範なネットワークは、Lighterに資金のみならず戦略アドバイスや規制対応ネットワークを提供します。Lighterが将来規制対応や伝統金融機関との連携に直面した際、Ribbitのリソースが重要な役割を果たします。

15億ドルの評価額はDEX分野で最高水準です。この評価はどのような仮定に基づくのでしょうか？投資家は、Lighterの全商品ライン展開、イーサリアム技術基盤、創業者の経歴によって、分散型版のInteractive BrokersやTD Ameritrade――株式・FX・コモディティ・暗号資産取引を提供する総合プラットフォーム――になるポテンシャルがあると見込んでいるのでしょう。もしこのビジョンが実現すれば、15億ドルの評価は極めて控えめと言えます。

よくある質問 FAQ

Lighterとは？

Lighterはイーサリアムzk-rollup技術に基づく分散型取引所で、暗号資産永続契約・株式先物・FX・現物取引を提供します。元CitadelクオンツアナリストVladimir Novakovskiが創設、11月取引高は2,925億ドル、評価額は15億ドルです。

LighterとHyperliquidの違いは？

技術構成：LighterはイーサリアムLayer-2、Hyperliquidは独立Layer-1。セキュリティ：Lighterはイーサリアムの安全性を継承、Hyperliquidは独自のバリデータネットワークを構築。商品ライン：Lighterは株式・FX先物も提供し、Hyperliquidは暗号デリバティブに特化。