最近データを見返していたら、かなり不思議な現象に気づいた。

ブル相場のピーク時、SOLは247ドルまで上がり、時価総額は750億ドルに達した。それから4年経った今も時価総額は750億ドル前後をうろうろしているが、価格は134ドルに下落。同じ金額、同じ規模なのに、トークン価格はほぼ半分に減った。このお金はどこへ消えたのか？

答えは流通量に隠れている。2021年のSOL流通量はわずか3億枚強だったが、今では5.6億枚に膨れ上がり、ほぼ倍増している。年4.13%のインフレ率はまるでダムの放水のようで、ステーキング報酬がどれだけ魅力的でも、新しいトークンが市場に大量に流れ込むことを止められない。規模は変わらず、トークンだけが増え続ければ、当然価格は希薄化される。

一方、別の比較対象を見ると、ある老舗パブリックチェーンは2022年に3200ドルの時に時価総額が3800億ドル、今もほぼ3800億ドル、価格は3100ドル強と、安定している。その秘訣は？マージアップグレードとバーンメカニズムでインフレ率を0.7%以下に抑え、ピーク時にはデフレすら発生、4年間で供給量はわずか0.6%しか増えていない。こうした供給管理によって希少性がしっかりとロックされている。

これに比べて、SOLの初期8%インフレ、年15%しか減らない戦略はややマイルドすぎ、初期ホルダーの持ち分が知らず知らずのうちに大きく希薄化されてきた。ただ、コミュニティもすでにこの問題を認識しており、SIMD-0411提案では削減率を30%に引き上げ、インフレ率を1.5%にまで圧縮することを目指している。可決されるかは投票次第だが、もし抜本的な対策をしなければ、次の相場が来ても「時価総額は上がったのに、トークン価格は上がらない」という残念なループになるかもしれない。

結局のところ、一方はバーンによる引き算、もう一方は発行増による足し算をしている。インフレ問題を解決しない限り、どれだけ強いエコシステムでも供給量に足を引っ張られることになる。