先週、世界の固定収益市場は大混乱となりました――その理由はパニックではなく、いくつかの予想外に好調な経済データが投資家を不意打ちしたからです。

まずはオーストラリア。消費者物価指数（CPI）は前年比3.8％に跳ね上がり（市場予想は3.6％）、5年物国債利回りは一気に15ベーシスポイント上昇、豪ドルは対米ドルでこの1か月で2.5％も値上がりしました。まだ落ち着かないうちに、今度はカナダの雇用データが追い打ち。失業率は6.5％、予想は7.0％でした！この「予想外の好成績」でカナダ5年物国債は1日で20ベーシスポイント暴騰――これは2022年以来最大の値動きで、カナダドルも2％急騰しました。

日本に目を向けると、設備投資はさえないものの、市場は今月の日銀利上げ確率を90％まで織り込んでいます。この一連の流れを見ると、FRB（米連邦準備制度理事会）のハト派路線はG7の中でやや浮いて見えます。

今、市場はFRBが今週25ベーシスポイントの利下げを行い、さらに2026年にも2回追加利下げを行うと見込んでいます。理屈は単純で、インフレがなかなか下がらないものの、失業率が4.5％前後まで上昇すれば、FRBは「雇用を重視する」という大義名分が立つからです。さらに重要なのは、12月から1月のFOMC（連邦公開市場委員会）会合の間に、雇用統計が2回発表される予定で、パウエル議長は1月か3月の利下げに含みを持たせる可能性が高く、「ドットチャート」にも大きな変化はなさそうです。

しかし、このハト派戦略には市場から疑問の声が出始めています。投資家が今最も注目しているのは、パウエル議長が記者会見でどのようにこの場を収めるか、という点です...