最近、中国銀行の元副頭取である王永利氏の論文を読みましたが、ステーブルコイン規制について非常にわかりやすく解説されています。デジタル通貨に関心のある方にとっては、こうした基本的な論理をしっかり考える価値があります。

まず現実的な問題から話しましょう。なぜ一部の地域ではステーブルコインが厳しく制限されているのでしょうか？

市場の構図はすでにはっきりしています。USDTやUSDCのような米ドル建てステーブルコインが、世界市場のシェアの99%以上を占めています。この状況下で新たな法定通貨ステーブルコインを推進しても、基本的には他者の脇役にしかなりません。通貨主権というものは、一度失えば取り戻すのが非常に難しいのです。

次に技術的な選択肢についてです。モバイル決済やデジタル法定通貨の技術はすでに先行しています。それなのに、なぜステーブルコインの道を選ぶ必要があるのでしょうか？デジタル法定通貨ならリアルタイム決済が可能で、プライバシー保護もコントロールでき、クロスボーダー決済も徐々に進展しています。これこそ国家レベルで注力している方向であり、論理的にも明快です。

さらに重要な問題があります――金融の安全保障です。ステーブルコインのクロスボーダー流動性は非常に高く、規制が難しい。一度、資本流出や違法行為に使われれば、深刻な結果を招きます。このリスクを封じ込めることは必須です。

では、これが一般ユーザーにとって何を意味するのでしょうか？

短期的には、国内でのステーブルコイン取引に確かに影響があります。しかし視点を変えれば、デジタル法定通貨のパイロット事業は加速しており、将来的にはより便利なクロスボーダー決済ソリューションが登場するかもしれません。

長期的に見れば、もしデジタル法定通貨が本当に国際化すれば、手数料がより低く、送金もより速いシナリオが実現するでしょう。ただし一点注意すべきなのは、海外のステーブルコイン取引に参加することには依然として法律リスクが伴うということです。これは十分に気を付ける必要があります。

王永利氏の提案も注目に値します。デジタル法定通貨の国際化を重視し、デジタルID技術と組み合わせて差別化された優位性を形成すること。同時に、海外のステーブルコイン競争にも積極的に関与すべきだという点です。

要するに、これは通貨主権と技術路線を巡る長期的な戦いです。ステーブルコインはその一つの駒に過ぎず、本当の勝負はこれから始まります。