1キログラムのゴールドバーが、ある取引所の創業者の手から、金の熱烈な支持者ピーター・シフの手に渡された。

会場は3秒間静まり返った。

これは仮想通貨業界で最も魔幻的なシーンかもしれない——あるブロックチェーンウィークのトークイベントの最後に、長年ビットコインを否定してきたシフと某大手取引所の創業者が同席したのだ。価値の保存手段から決済ツールまで、哲学的議論から現実の事例まで、火花が散る激しいやりとりとなった。

しかし、最も興味深い転換点は次だった：「ビットコイン懐疑派」のこの人物自身が、トークン化ゴールドプロジェクトを始めていたのだ。

シフはステージ上ではっきりと、自身がゴールドのトークン化製品を発行していると認めた。さらに「通貨機能の観点で言えば、トークン化ゴールドは実物のゴールドバーよりも持ち運びが便利で、分割もしやすい」とも認めた。

この発言はほぼ、「デジタル化によってゴールドが本当に『お金』に近づく」ということを認めたに等しい。

しかし彼はすぐに持論に戻る：ビットコインには本質的価値がなく、信仰だけで成り立っている、と。

某創業者の反撃は強烈だった——約13万ドル相当の本物の金塊を直接テーブルに叩きつけたのだ。

シフが手に取った第一声は「色がちょっと違うな、検査に出さないと」。この一言で実物資産の弱点が露呈した：真偽の検証が難しく、持ち運びも大変、取引はさらに困難。

某創業者はここを突いた：ビットコインの検証性と移転効率は、ゴールドには到底かなわない。

価値観の議論は白熱し、両者の対立が鮮明になった：

某創業者は、ビットコインの希少性は数学的に保証されており、2100万枚という上限は決して変わらないと主張。

シフは「新しいコインが次々と現れている。ビットコインは投機家同士の椅子取りゲームに過ぎない」と反論。

投資リターンの話題になると、さらに白熱した。

シフは「金で換算すれば、ビットコインは4年間で40%下落した」とし、若者がビットコインで損をするのは「良いことだ」とまで発言。

某創業者は笑いながら「私の周りの早期ビットコイン投資家は、今みんな私の家の近くの高級住宅街に住んでいる」と応酬。

意見は真っ向からぶつかり合いながらも、両者は最低限のリスペクトを保っていた——最後に某創業者はシフのトークン化ゴールドプロジェクトの「成功」を祈り、さらには次回マイケル・セイラーとの対談のセッティングを提案した。

このディベートに勝敗はなかったが、意味は明白だった：

伝統的資産の守護者たちが「トークン化」に挑戦し始めている；
新興デジタル資産は、主流のさらなる承認を求め続けている。