「マネーロンダリングの手段」から受け入れへ：ブラックロックCEOはなぜビットコインについて公然と誤りを認めたのか？

ニューヨーク・タイムズのDealBookサミットにて、ブラックロック（BlackRock）CEOのラリー・フィンク（Larry Fink）は、2017年に暗号資産を「マネーロンダリングと盗賊のツール」と呼んだ自身の見解が誤りであったことを認めました。司会者は核心を突く質問を投げかけました。「今やブラックロックは最大規模のビットコイン現物ETFを保有しています。何があったのでしょうか？」

フィンクはこう答えました。「私は明確な意見を持っていますが、それが必ずしも正しいとは限りません。自己検証を繰り返し、毎年何千何万という顧客や政府関係者と会う中で、私の思考プロセスは絶えず進化し、意見も大きく変化しました。」

01 見解の転換

ラリー・フィンクの見解の転換は、伝統的金融分野における最も注目すべき「認知進化」と言えるでしょう。数兆ドル規模の資産を運用するこの金融大手が、公開での疑念から積極的な受け入れへと至った過程は、金融業界全体の暗号資産への姿勢の変化を反映しています。

フィンクは率直に、かつては主に暗号資産をマネーロンダリングと結びつけていたが、今では数十億ドル規模のBTCを扱うようになり、「これは見解が大きく変わった非常に明確な公開例だ」と認めました。

2025年12月3日、この認識はSNSを通じて拡散され、すぐに市場の注目を集めました。

フィンクが一夜にして考えを変えたわけではありません。彼はかつてビットコインを「恐怖資産」と表現し、米中貿易合意やウクライナ戦争の終結報道時に暗号資産価格が下落したことを指摘していました。

彼はこう述べています。「もしビットコインを取引目的で買うなら、それは非常にボラティリティの高い資産です。市場のタイミングをうまく捉えなければなりませんが、大半の人はそれが得意ではありません。」

02 行動による証明

ブラックロックの行動は、フィンクの発言よりも早く姿勢の転換を示していました。2024年1月10日、米証券取引委員会（SEC）は初の現物ビットコインETFを承認しました。

ブラックロックは迅速にiShares Bitcoin Trust（IBIT）をローンチし、その規模はピーク時で約700億ドルに達しました。

11月にIBITは23億ドル超の純流出を経験しましたが、ブラックロックの事業開発責任者クリスティアーノ・カストロは、ETFを「流動性の高いツール」として高く評価しています。

さらに注目すべきは、ブラックロックが公の場で発信する一方で、実際の資金運用をすでに開始していた点です。2025年11月20日、ブラックロックが直接6200万ドルを投じてビットコインを購入したことが報じられました。

2025年12月2日には、監視データによるとブラックロックがCoinbase Primeへ1,633.875 BTC（約1億4,260万ドル相当）を移転したことが確認されました。

03 市場への影響

フィンクの公開での認識修正は、暗号資産市場に即座に波紋を広げました。市場アナリストによると、フィンクのような人物の後押しは、48時間以内に10～20％の価格急騰につながることが多いと指摘されています。

同時に、オンチェーン分析プラットフォームのデータでは、BTCのクジラによる蓄積が過去1か月で15％急増しており、これはブラックロックなど主要企業の発表と関連しています。

取引面では、投資家は米国時間のBTC価格動向や当日の現物ビットコインETFの資金流入出、CMEビットコイン先物の未決済建玉とベーシス（裁定機会）に注目し、機関投資家の需要がBTCにどのように波及するかを評価しています。

ブラックロックのIBITのコスト基準は約84,000ドルで、MicroStrategyの約73,000ドルのコスト基準とともに、ビットコインが「最大の痛み」的な投げ売りが生じうるエリアを形成しています。価格がこれらの水準に接近すると、市場心理が大きく変化しやすいのです。

04 機関化の進展

ブラックロックの方針転換は、暗号資産が周縁から主流へと不可逆的に進化していることを反映しています。機関投資家向けインフラの整備や顧客ニーズの顕在化により、伝統的金融大手がかつてない速度でこの分野に参入し始めています。

フィンクとブラックロックCOOのロブ・ゴールドスタインは、トークン化が世界市場を変革する力となり、その潜在的インパクトは初期のインターネット普及に匹敵すると指摘しています。

彼らは、デジタル台帳による資産所有権の記録が効率性・透明性・アクセス性を高め、金融システムの近代化を推進すると見ています。両幹部は「複式簿記の発明以来、台帳がこれほどまでにエキサイティングだったことはない」と記しています。

機関投資資金の流入は、暗号資産市場の成長を後押しする重要な力となっています。統計によれば、先週だけで複数のウォール街機関が3億ドル以上の純流入を記録しました。

現在、67,000ドルがビットコインの新たなサポートとなっており、テクニカル分析では75,000ドルが次のターゲットとされています。

05 今後の展望

ラリー・フィンクの転換は、単なる個人の意見修正にとどまらず、伝統的金融界全体の暗号資産に対する認識変化の縮図です。この変化は、暗号資産がさらに世界金融システムに統合されていくことを示唆しています。

フィンクはビットコインを「デジタル・ゴールド」および価値の保存手段と位置付けており、これは伝統金融のストーリーテリングを活用してビットコインの認知ハードルを下げ、主流投資ポートフォリオへの組み入れを促進する狙いです。

同時に、ブラックロックはブロックチェーン・エコシステム全体の展開にも積極的です。報道によれば、ブラックロックはASTERを含むプロジェクトへの戦略投資に参加しており、関連エコシステムファンドの規模は5,000万ドルを超えています。

ブラックロックの影響により、伝統金融と暗号資産の壁はさらに低くなる可能性があります。特に、米連邦準備理事会内部で暗号資産に対して開かれた姿勢を持つ実力者が次期議長に就任する可能性もあり、政策環境が一段と前向きになる展開も予想されます。

今後の展望

イーサリアムもその恩恵を受けており、価格は堅調さを見せながら3,200ドル付近を推移し、主要プラットフォームでの24時間取引高は200億ドルを超えています。

トレーダーはETHの2,800ドルサポートに注目すべきで、反発があれば上昇モメンタムの兆しとなる可能性があります。

これらすべてが示すのは明確な方向性です。11兆ドルの資産を運用するブラックロックCEOが公然と「間違っていた」と認め、ウォール街が億単位の資金で暗号資産に投票し始めた今、暗号世界と伝統金融の融合はもはや未来の話ではなく、現実として進行中なのです。