イーサリアム・メインネットがFusakaアップグレードを無事に実施：8倍のロールアップスループットが稼働開始

イーサリアムのメインネットは、エポック411392でFusakaハードフォークを正式に有効化し、今年2回目となる大規模アップグレード（Pectraに続く）を迎えました。

直後にイーサリアム公式Xアカウントから発表されたこのアップグレードでは、PeerDAS (Peer Data Availability Sampling) や一連の最適化が導入され、フルノードのハードウェア要件を抑えつつLayer2のスケーラビリティを劇的に向上させます。

Fusakaでアンロックされた主な機能

1. PeerDAS (EIP-7840) 目玉となるアップグレードで、フルBlobダウンロードをピア間の軽量サンプリングに置き換えます。ノードは総Blobデータの約12.5% (1/8) のみを保存・提供すればよく、100%の可用性を保証しつつ、ロールアップが集約スループットを最大8倍 (全L2合計で理論上約128–160MB/s) までスケール可能にします。
2. R1曲線プリコンパイルおよび事前確定 新たな暗号プリミティブにより、一般的なロールアップ操作のガスコストが削減され、サブブロックでの事前確定保証が可能になり、L2ユーザーにほぼ即時のトランザクションインクルージョン信号をもたらします。
3. Blobマーケット & ガス価格修正 洗練されたEIP-7691の仕組みにより、従来の過剰請求バグが修正され、混雑時のデータ投稿がより安価で予測しやすくなります。
4. 今後のL1ガスリミット引き上げへの布石 データ可用性のオーバーヘッドを大幅に削減することで、FusakaはL1ガスターゲットを30Mから45M+へ (早ければ次回2026年のハードフォーク) で安全に引き上げるための技術的基盤を築きます。

即時の影響とモニタリング

アクティベーション時点で、すべての主要クライアント組み合わせ (Geth+ Prysm、Nethermind+ Lighthouseなど) でチェーン分岐なしの移行成功が報告されました。Blob利用率は現在の約40%平均から、今後数週間で80～90%へと着実に上昇すると見込まれています（Arbitrum、Optimism、Base、zkSyncがPeerDAS対応シーケンサーを展開するため）。

イーサリアム財団とコア開発チームは、今後24時間体制でモニタリングを続け、週末までに完全な事後分析およびパフォーマンスダッシュボードを公開する予定です。

マーケットの反応

ETH価格は発表を受けて穏やかに反応し、アクティベーション後数時間で約1.8%上昇し$2,912となりました。これは、利点がL1トークン自体よりも徐々にLayer2エコシステムに蓄積されるインフラ重視のアップグレードに典型的な静かな反応です。

長期的には、Fusakaは2024年3月のDencunアップグレード以来最も重要なスケーラビリティのマイルストーンの一つと広く見なされており、高TPSなモノリシックチェーンに対してイーサリアムの競争力を維持しつつ、分散性も保ちます。

要するに、パイプは大幅に太くなりました。本当の花火は、最大手L2が2026年第1四半期にPeerDAS完全活用のスイッチを入れる時にやってくるでしょう。